本書は、著作権がなく基本的コピーフリーな業界であるファッション、料理、コメディ、そして金融について取り上げ、コピーフリーがイノベーションにとって大きな役割を果たしてきたことを明らかにする。
まずはファッション産業。
ここでは、ファッションサイクルがそのカギになるという。ファッションは地位財としての役割があり、新たなデザインが一般的にあるとその特権性がなくなる。ここでコピーは、ファッションサイクルを加速する燃料としての役割を持つという。
続いて料理。
ここでも、レシピは基本的にコピーフリーである。そのことが、イノベーションを活性化させ、必ずしも有害ではない、むしろコピーの氾濫にもかかわらず、シェフたちはコピーは創造性を殺してしまうとして急速に創造性を発揮し続けているという。ここで注目するのは社会規範という考えである。
そして、著者はオープンソースという視点を提示し、ウィキペディアとマイクロソフトの例をあげ、オープンソースのすなわちコピーフリーの百科事典が大企業の事業を打ち負かしてしまうという視点を提示する。
本書の主張は、ますますアイデアが中心になっている経済にとっての今後のあり方に深い示唆を与えてくれる。
イノベーションのためには、コピーフリーが大きな役割を果たしている。
著者は言う。
「コピーは深刻な脅威だという広く信じられている考え方とは裏腹に創造的産業をもっと広い視野でしっかり眺めてみると模倣がイノベーションと共存していることがわかる。コピーのおかげで栄えてきたのだ。」
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