あの「大国の興亡」の著者ポール・ケネディにより2007年から2011年にかけて書かれたエッセイ集。
この間世界金融危機が起き、オバマが誕生し、新興国が力をつけ、商品相場が高騰し、そしてソブリンリスクと通貨安競争が始まった。
これらの出来事の都度、著者は鋭い考察を示してくれる。
たとえば
・米国は全世界のGDPの2割を占めているがドルは7割を占めている。この不均衡の是正の動きは近い将来起こるだろうと2009年に書いている。
・また、地球温暖化に関する報告書や今世紀の中ごろまでにアジアが興隆するというような統計の報告には疑問を呈している。
・さらに、ロシアは出生率と死亡率の両面から人口学的にみて崩壊の危機に瀕しているとする。
・そして、アメリカで進む「お茶会」運動にも、内向き志向を強めているとして懸念している。
・また、オバマ政権に関しては、せいぜい船のマストを修理するくらいのことしかしていないと酷評している。
そしてまさに今、リビアのカダフィ政権が倒れようとしているが、中東世界の未来は決してバラ色ではないと筆を置いていることは何やら暗示的である。
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